不動産登記の手続に必要な場合がある書類とは?


こんにちは。皆様お忘れかもしれませんがXです。
早速ですが前回に引き続き白熱の議論を再現させていただきます。

前回は、不動産登記手続添付書類について売主の立場で準備すべき書類等として、「不動産登記済権利証」「印鑑証明書」「実印」の3点を挙げていました。この3点が、まずは基本セットと呼んでも良いものです。
今回は、基本セット以外に必要なものがある場合を想定して前回同様列挙していきます。


不動産の売主は、当たり前の事ですが、売る以前において不動産を入手しています。そしてその入手の事実は不動産登記簿謄本にて確認することが出来ます。

不動産登記簿謄本は、「表題部」「甲区」「乙区」と3つの欄に分かれております。その内の「甲区」欄には売主が過去において不動産を入手した事実が記載されております。例を挙げてみますと、

「原因 平成10年◎月◎日売買 ・ 所有者 埼玉県A市B町 何某太郎」

の様な記載がされており、この記載から売主何某太郎は平成10年◎月◎日に不動産を購入していたということが判明します。

そこから20年が過ぎ、平成30年△月△日に売主何某太郎が不動産を売り渡すことになりました。なお、売主何某太郎は平成20年に仕事の都合で東京都に引越し、住民票も埼玉県から東京都に移しておりました。

売主何某太郎は、平成30年△月△日の不動産売り渡し当日に、買主に「印鑑証明書」を引き渡すのですが、その「印鑑証明書」に記載されている住所は、東京都の住所です。平成20年に引越しているのですから当然のことです。

この当然のことが、不動産登記手続においては問題となります。どの様な問題かと言いますと、不動産登記簿謄本記載の住所(埼玉県A市B町)と「印鑑証明書」記載の住所(東京都)が異なっているということです。

異なっているのが何故に具合が悪いのかを説明します。不動産登記手続においては、「不動産登記簿謄本」記載の住所氏名と「印鑑証明書」記載の住所氏名が異なっていると別人と判断されてしまいます。つまり、不動産の所有者でない人が、他人の不動産を売り渡そうとしていると推測される可能性があるということです。

この様な問題を回避するために、売主何某太郎は「不動産登記簿謄本」と「印鑑証明書」記載の住所は異なっているけれど同一人物だということを証明する必要があります。

その証明のために必要となる書類が「住民票」又は「戸籍附票」です。これらの書類には現在の住所と過去の住所が記載されています。今回のケースに当てはめて考えてみると、住民票の住所欄には、現在の住所(東京都)が記載されています。そしていつからその住所に住み始めたのかも記載されています。今回の事案では平成20年の日付が記載されています。

そして住民票の中には前住所を記載する欄もあります。今回の事案では、前住所の欄には「不動産登記簿謄本」記載の住所(埼玉県A市B町)が記載されています。この記載事項を確認することにより、売主何某太郎本人に相違ないと法務局は判断します。


以上の理由により、売主は登記申請手続を行う際に、「印鑑証明書」に加えて「住民票」を法務局に提出することにより、同一人物であることを証明出来ます。「住民票」を使用して行う登記手続を行うことにより、売主から買主への不動産引渡の障害を一つ取り除くことが出来るのです。

・・・ちなみに、この「住民票」を使用して行う登記手続は所有権登記名義人住所変更登記というとても長ったらしい名前で呼ばれています。この名前を覚える必要はないと思いますが。

ちなみに、本件の所有権登記名義人住所変更登記を申請することで不動産登記簿謄本「甲区」欄が以下の様に書き換えられます。

「原因 平成10年◎月◎日売買   ・ 所有者 埼玉県A市B町 何某太郎」
「原因 平成20年◎月◎日住所移転 ・ 住 所 東京都 」
(※下線のあるものは抹消事項であることを示す。)

追加ですが、売主何某太郎が平成20年に住所を異動しただけではなく、結婚したことにより氏名を鈴木太郎に変更していたとしたらどうでしょうか?
この氏名の変更の場合も、住所の変更と同様に同一人物である証明が必要となります。住所の変更に必要なのが「住民票」「戸籍附票」ですが、氏名の変更では「戸籍謄(抄)本」となります。「戸籍謄(抄)本」には、いつ、どういう原因で氏名が変わったのかが記載されているのです。今回の事案では平成20年に結婚したので名字が変わったと記載されています。

ちなみに、本件登記を申請することで不動産登記簿謄本「甲区」欄が以下の様に書き換えられます。

「原因 平成10年◎月◎日売買   ・ 所有者 埼玉県A市B町 何某太郎
「原因 平成20年◎月◎日住所移転 ・ 住 所 東京都 」
「原因 平成20年◎月◎日氏名変更 ・ 氏 名 鈴木太郎 」
(※下線のあるものは抹消事項であることを示す。)

以上、今回は売主の準備書類等で、住所氏名の変更があった場合のお話でした。

以下、次回に続きます。