買主にも準備すべき書類等があります。

Xです。第3回目となりましたが、第1回目より続くテーマを記させていただきます。

前回までで、不動産登記手続添付書類について売主の立場で準備すべき書類等としての主だったものは出されたのではないでしようか。

前回述べました「所有権登記名義人住所氏名変更登記」以外では、売主が売却対象不動産を担保に銀行等の金融機関から融資を受けていたというような場面があることも考えられます。その様な場合には売主は買主に不動産を引き渡す迄に金融機関と担保権を抹消するための話を付けておく必要があります。

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そして、担保権を抹消するための登記手続を行います。登記手続を行う以上は必要となる書類があります。しかし、売主としては金融機関へ連絡をして融資を受けたお金を弁済すれば、登記手続必要書類の準備は金融機関の方でしてくれます。ですので、本件は深く突っ込むことは必要無しと判断します。


立場は変わり買主にも準備すべき書類等があります。売主だけが準備を行えば不動産の所有権名義が売主から買主へと変更されるという方式を日本の登記申請手続は採用しておりません。売主と買主双方が共同して準備を行う必要がある、共同申請方式を採用しておりますので、共同である以上は買主も売主と同様に準備を行わねばなりません。

前置きが長くなりましたが、ここから買主の立場で準備すべき書類等を挙げていきたいと思います。

買主が準備するものとして基本的なものを挙げると、「住民票」と「印鑑」です。
売主よりも準備物が簡素な感じがしますが、実際には重い意味があり決して簡素ではありません。それでは、以下に意味を述べていきます。


買主は、売主より不動産の引渡を受けた時より、売主に代わって不動産の所有者となります。所有権移転登記というのは、この売主より買主へ所有権が移りましたということを公示するために行うものです。

買主は、不動産登記簿謄本上にはじめてその氏名を記載されます。具体的には前回述べました不動産登記簿謄本の「甲区」欄に記載されるのです。
売主・何某太郎から買主・土地建夫へ所有権が移転したとすると、

「甲区1番 所有権移転 原因 平成10年売買・所有者 住所 何某太郎」
「甲区2番 所有権移転 原因 平成30年売買・所有者 住所 土地建夫」

のような感じに記載されることになります。
※「甲区」欄の所有者名には、住所・氏名がセットで記載されることとなっております。

もし、この不動産登記簿謄本に記載されている所有者名が偽名であったら、どうでしょう?
もっと言えば、実在しない、架空の人物を記載されていたとしたらどうでしょう?

これは、かなり大きな問題となるのではないでしょうか?不動産の流通というのは、不動産を買いたい人が、不動産を所有する人(または、売りたい人)に対して買いたい旨を申し出て契約を締結することで始まるのですが、偽名人物や架空人物相手に契約を締結できますか?多額のお金が動く不動産取引において、取引当事者が不安定な立場に置かれるようなことがあってはならないのです。

そのため、不動産を取得し、はじめて不動産登記簿謄本に住所氏名が記載されることになる買主は、住民票を登記申請手続の際に法務局へ提出することで、自分は偽名を使用していない、また、架空の人物ではない旨を申し出るのです。住民票は、市町村役場が本人確認を厳格に行った後でなければ発行されることのない書類ですので、住民票があれば法務局は偽名等の心配無しに登記申請手続を進めることが出来ます。

こうすれば、不動産登記簿謄本に住所氏名が記載された買主が、記載日以降に当該不動産の売主となる時がある場合、その際に買主である取引相手方を不安定な立場に置くことはないのです。

以下、次回に続きます。